暖房をつけているのに、室内がなかなか暖まらない……。このように、暖房が効かない場合は「エアコン機器に塵・埃が溜まっている」など、何らかの原因が潜んでいる可能性があります。暖房が効かない場合は、機器のフィルター、室外機のファン部分などをチェックして「ゴミが溜まっていないか?」をチェックするといいでしょう。
暖房は、機器の塵・埃以外にも、建物の材質(コンクリートなど)の影響で効きが悪くなる恐れがあります……。本記事では、暖房が効かない原因とともに、個人・業者別の「暖房が効かない時の対策」について紹介します。「暖房の効きが悪い」「思うように部屋が温まらない」と感じている方は、ぜひ参考にしてください。
暖房が効かない原因とは
暖房は、室内機・室外機に塵・埃が溜まると効きが悪くなる可能性が大きいです。暖房効率を一定に保つためにも、定期的な清掃が必要不可欠と言えるでしょう。まずは「暖房が効かない」と感じる時の主な原因について、具体的に紹介します。
- フィルターに塵・埃が溜まっている
- 室外機にゴミが溜まっている
- マンションの場合、建物の材質の影響で暖房が効きにくい
- 「ヒートポンプ」の効率が低下している
- コールドドラフト現象の影響を受けている
- 家自体の断熱性・遮熱性が悪くなっている
原因1. フィルターに塵・埃が溜まっている
エアコンの手入れをしていない場合、フィルター・送風ファンなどに塵や埃が溜まり、暖房効率が落ちている可能性があります。 エアコンのフィルターは簡単に取り外しが可能で、誰でも簡単に掃除できます。ただしフィルターを掃除しても暖房の効きが悪い場合、本体内部に塵、埃が溜まっている恐れも。この場合は個人で対処するのは難しいため、業者に依頼して掃除をしてもらうのがおすすめです。
原因2. 室外機のフィルター部分にゴミが溜まっている
室外機のファン部分にゴミが溜まっている場合、暖房の効きが悪くなる恐れがあります。室外機とは、屋外に置く設備のこと。エアコンは、主に室内に置く「室内機」、屋外に設置する「室外機」の2点セットで構成されています。室外機の役割は「冷房」「暖房」別に、それぞれ異なります。主な室外機の役割は以下のとおりです。
- 冷房時……室内の熱を、屋外へ逃がす
- 暖房時……室内に、温かい熱を送りこむ
室外機にゴミ・埃が溜まると、室内に温かい熱を上手く運ぶことができなくなるので注意が必要です。暖房効率を保つためにも、室内機のみならず、室外機の掃除も忘れずに。
原因3. マンションの場合、建物の材質の影響で暖房が効きにくい
家がマンションの場合、建物の材質の影響で、暖房の効きが悪くなる可能性も。そもそもマンションで多く用いられている「コンクリート」には、蓄熱性能が高い特徴があります。蓄熱性能とは、「1㎥の物質の温度を1℃上昇させるのに、必要な熱量」のこと。コンクリートなど蓄熱性能が高い材質には、「冷えにくく、暖まりにくい」性質があるため、暖房をつけても室内が思うように温まらないことがあります。
原因4. 「ヒートポンプ」の効率が低下している
ヒートポンプ式の暖房を使用している場合、外気温が5℃以下になると、室外機にある「ヒートポンプ」の効率が悪化。するとヒートポンプ部分が上手く機能しなくなり、暖房の効きが低下します。
「ヒートポンプ式暖房」とは、大気中にある熱を集めて移動させる暖房システムのことです。「ヒートポンプ式暖房」では空気熱を利用するため、少ない電気量で効率よく室内を温めるメリットもあります。その一方で、室外の温度が5℃以下に低下すると、交換器の部分が着霜し始めるため、ヒートポンプが上手く機能しなくなるデメリットがあります。
原因5. コールドドラフト現象の影響を受けている
「暖房をつけても、足元の冷えを感じるのはどうして?」
もし暖房をつけても足元の冷えを感じる場合、「コールドドラフト現象」が起きている可能性があります。コールドドラフト現象とは、暖房器具によって温められた「暖気」が冷えた窓・窓サッシに触れることで「冷気」に変化し、その冷たい空気が床下に流れ込む現象のことです。
コールドドラフトが発生すると、暖房をつけても「暖気」が「冷気」に変化してしまうため、室内がなかなか暖まりません。さらに「冷気は下に降りる」性質があるため、床下に冷気が流れ込み、足元の冷えに悩まされる可能性があります。
原因6.家自体の断熱性・遮熱性が悪くなっている
家の断熱性が悪いと、外の冷たい冷気が室内に侵入するため、室内が寒くなります。断熱性とは、外気を室内に入れないように遮断する性能のこと。断熱性が弱い家の場合、家の壁・床に「断熱材」を施工することで、外気の影響を受けにくくなり、暖房効果を高く保てるようになります。
さらに家の「遮熱性」が悪い場合は、暖房によって温められた熱が外に逃げてしまうため、暖房をつけても室内が温まりません。遮熱性とは、輻射熱による熱移動を防ぐ性能のこと。家の遮熱性が悪い場合は、輻射熱を反射する「遮熱シート」を建物に施工することで、暖房効率がアップします。
断熱材・遮熱シートの効果については、後述にて詳しく紹介します。
暖房が効かない場合の対策(個人)
暖房が効かない場合、個人でも対策可能な方法を実行しましょう。個人で対策可能な「暖房が効かない場合の対処法」について紹介します。
- フィルター、ファン部分の掃除をする
- 断熱カーテンを設置する
- サーキュレーターを窓下に設置する
フィルター、ファン部分の掃除をする
エアコンは、室内機のフィルターや、室外機のファン部分が汚れていると、塵や埃の影響で、暖房効率が低下します。暖房の効きが悪くなったら、室内機のフィルターを清掃するのがおすすめ。フィルターは、基本的に水洗いできるものが多いので、こまめに掃除しましょう。
室内機と同様に、室外機が汚れている場合もエアコンの効きが悪くなります。室外機の掃除をする際には、まず外側の汚れを取るために、濡れた雑巾を固く絞って拭きましょう。吹き出し部分、ファンの汚れは、掃除機で吸いこむのがおすすめです。ただし掃除をしても上手く機能しない場合は、内部奥まで埃が溜まっているか故障の可能性があります。この場合は個人で対策をするのは難しいので、業者に修理・清掃を依頼しましょう。
断熱カーテンを設置する
断熱カーテンを設置することで、暖房で温められた熱が外に逃げるのを防ぐ効果も。断熱カーテンとは、熱の伝わりを遅らせる素材で作られたカーテンのこと。断熱カーテンの設置により、室内の熱が外へ逃げるのを抑える働きにより、暖房効率が向上します。さらに断熱カーテンには「外の日差しをカットする」効果もあるので、夏の暑さ対策にも効果的です。
サーキュレーターを窓下に設置する
コールドドラフト現象が起きた場合、冷気が下にこもり、暖房をつけても足元の冷えを感じる恐れがあります。そこで「コールドドラフト現象」の影響を受けやすい家の場合、窓下に「サーキュレーター」を設置するのがおすすめ。サーキュレーターとは、空気の循環を促す家電のこと。
サーキュレーターを窓下に置くことにより、室内の暖気が窓に触れる前に攪拌されるため、コールドドラフト現象の防止に効果的。さらにサーキュレーターの設置により、まんべんなく部屋全体に温かい熱を送ることができるようになります。そもそも「冷気は下に降りる」性質がありますが、サーキュレーターによって空気の循環を促すことで、床下に冷気がこもるのを防ぎ、足元の冷え防止にも役立ちます。
暖房が効かない場合の対策(業者)
個人の対策で思うような成果が得られない場合は、エアコンの劣化・故障の恐れあり。また、築年数の古い家の場合は、家自体の断熱性・遮熱性が低い可能性があるので、業者に「断熱リフォーム」「遮熱シートの施工」をお願いするのもおすすめ。本項目では、「暖房が効かない場合」に、業者に依頼できる対策を紹介します。
- エアコンを修理に出す
- 断熱材を壁・床に設置する
エアコンを修理に出す
暖房器具の劣化、故障によって、温風が機器から上手く出なくなることも……。このような場合は、個人で対策を取っても上手く機能しない可能性大。暖房の劣化、故障を感じた場合は、修理サービス業者に修理を依頼する、または新しい暖房に買い替えるのが得策と言えるでしょう。
断熱材を壁・床に設置する
家の壁・床に断熱材を施工することで、室内の熱が外に逃げるのを抑え、暖房効率が向上します。断熱材とは、熱の伝わりを遅らせる素材のこと。断熱材には大きく分けて「繊維系」と「発泡樹脂系」があり、さらに細かい種類に分けられます。断熱材の種類には、水・耐久性に強いものもあり。断熱材を施工する場合は、建物に適したものを選びましょう。
断熱材の種類別の「特徴」については「断熱材はどう選べばいいの?断熱材の「選び方」と「種類」をわかりやすく解説」で詳しく紹介していますので、あわせてご覧くださいませ。
暖房効率を向上させる対策として、屋根・壁・床に「遮熱シート」を施工する方法も
暖房効率を向上させる方法には、住宅の屋根・壁・床に「遮熱シート」を施工する方法も。遮熱シートとは、輻射熱を反射する金属製アルミシートのこと。
遮熱シートは、日射・電気ストーブから放射される輻射熱を反射する性質があります。家の屋根・壁・床に「遮熱シート」を施工することで、暖房によって温まった熱を室内側に反射させる効果が期待できるようになり、暖房効率がアップ!暖房の効きが良くなることで、光熱費削減・省エネ効果も期待できるようになります。
関連記事:サーモバリアとは
まとめ
暖房が効かない場合、フィルター、ファン部分に埃、塵が溜まっている可能性が考えられます。暖房効率の低下を防ぐためにも、機器に埃・塵を溜めないよう、定期的に掃除をすることが大切と言えるでしょう。
暖房は、その他にもさまざまな理由で「効率」が低下するので注意が必要です。暖房が効かない原因は、主に以下のとおり。
- フィルターに塵・埃が溜まっている
- 室外機にゴミが溜まっている
- マンションの場合、建物の材質の影響で暖房が効きにくい
- 「ヒートポンプ」の効率が低下している
- コールドドラフト現象の影響を受けている
もし暖房が効かないと感じた場合は、原因に合わせて対策を取ることが大切。主な対策は、以下のとおり。
(個人)
- フィルター、ファン部分の掃除をする
- 断熱カーテンを設置する
- サーキュレーターを窓下に設置する
(業者)
- エアコンを修理に出す
- 断熱材を壁・床に設置する
- 遮熱材を屋根・壁・床に施工する
個人で行える対策で効果を感じない場合には熱のプロに一度聞いてみるのがオススメです。ライフテックでは日常の様々な熱・温度の悩みについて紹介をしております。気になる方は是非ご一読ください。