「エアコンをつけているのに、室内が寒い」
「家の外より、部屋の中の方が寒いのはどうしてだろう?」
家の寒さは、建物の構造(木造・コンクリート)、築年数が古い、断熱性の低い素材を使用しているなどの理由で、室内の寒さを感じる可能性あり。
とくに木造住宅・断熱材が使用されていない家の場合「建物の気密性・断熱性」が低いので、冬は外気の影響を受けて室温が低下します。さらに断熱性・気密性が低い家だと、室内の暖気が外に逃げやすいので、冬の寒さ対策に「エアコン」を使用しても、部屋が思うように温まりません。
なお家の寒さは、築年数の古い家、マンション、新築住宅など建物別に「寒くなる原因」が異なるので、注意が必要。本記事では、冬に家が寒くなる原因について、「築年数の古い家」「マンション」「新築住宅」など建物の構造別に紹介していきます。
目次
外より家の中が寒くなる原因(築年数の古い家の場合)
一般的に壁に囲まれた「家」の方が、外より「冬も暖かく過ごせる」というイメージを持つ方が多いことでしょう。ただ、「建物が老朽化している」など、家の状態によっては「外より、家の中の方が寒い」と感じることも……。
とくに築年数が経過した古い家は、老朽化や「断熱性が施工されていない」などの理由から、断熱性能が弱くなる恐れあり。まずは寒さを感じやすい「築年数の古い家」の寒さを感じる原因について、具体的に紹介します。
- 建物の老朽化から、隙間風の影響を受けやすい
- 断熱材が施工されていない可能性あり
- コールドドラフト現象の影響を受けやすい
建物の老朽化から、隙間風の影響を受けやすい
築年数の古い家の場合、家の老朽化から壁・窓の隙間から入る「隙間風」の影響を受けやすく、室内が寒さを感じやすくなります。壁・窓に隙間があると、エアコンで室内を温めても暖かい気が外に逃げてしまうので、室内がなかなか温まりません。
古い家の場合、窓サッシの「パッキン劣化」が原因で隙間風が入りやすくなっている恐れも……。壁・窓に隙間がある場合は、隙間部分を埋める「隙間テープ」を使用して気密性をアップさせる方法があります。
個人で対策可能な、壁・窓の寒さ対策については「【家の寒さ対策12選】個人でできるものからリフォームまで幅広くご紹介」や「窓の寒さ対策とは?賃貸、DIYでも可能な窓の寒さ対策をご紹介」の記事でも紹介していますので、あわせてご覧くださいませ。
断熱材が施工されていない可能性あり
築40年以上など古い家の場合、省エネ法(※1 エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)・建築省エネ法(※2 大規模非住宅建築物の「省エネ基準適合義務」等の規制措置などに関する法律)がまだ制定されていなかった頃の建物であることから、壁・床に断熱材が入っていないケースもしばしば。
断熱材とは、空気の伝わりを遅らせる素材のこと。
断熱材が施工されていない住宅は、外気の影響を受けやすいので、冬は室温が低下します。さらに家の気密性が低いことから、室内の熱も外に逃げてしまうので、暖房の効きが悪くなるデメリットも……。そもそも日本の住宅業界で「断熱材」が注目されるようになったのは、1980年に「省エネ法」が制定されてから。省エネ法が注目される前までの住宅では、断熱工事がされていないケースもあるようです。
※1 引用:省エネ法とは(経済産業庁)
※2 引用:建築物省エネ法の概要(一般社団法人住宅・建築sdgs推進センター)※参照:断熱材の意外な歴史その1
コールドドラフト現象の影響を受けやすい
古い家では、一般的に1枚から成る「単板ガラス」を使用されているケースが多いです。単板ガラスは2枚のガラスで構成された「複層ガラス(※複数枚の板ガラスを重ねて作られたガラスのこと)」より断熱性が弱いので、外からくる冷気の影響を受けやすくなる恐れあり。
窓が単板ガラスの場合、外気の影響を受けて窓・窓サッシが冷えやすくなるので、床下に冷気が流れ込む「コールドドラフト現象」の影響を受ける可能性が高くなります。コールドドラフト現象とは、室内の暖気が冷えた窓に触れることで冷気に変化し、その冷たい空気が床に流れ込む現象のこと。空気は冷たいものほど下に下がる性質があるので、コールドドラフト現象が起こると、足元の冷え・底冷えを感じやすくなります。
家の中が寒くなる原因(マンションの場合)
マンションは、熱伝導率の高い「コンクリート」で作られているケースが多いです。コンクリートは外気の影響を受けやすいので、冬は冷気の影響で室内が寒くなる可能性大。ここでは、マンションの室内が寒くなる理由について紹介していきます。
- 外気の影響を受けやすい
- 暖房の効きが悪い
- 低層階の場合、冷気がこもりやすい
外気の影響を受けやすい
マンションで多く使用されている「コンクリート」は熱伝導率が高いので、寒い冬の時期は「冷気」の影響を受け、室内が寒くなります。コンクリートとは、セメントペースト、陸砂・山砂・砕砂などの「細骨材」、砂利・砕石といった「粗骨材」と混和剤を混ぜて作られた材料のこと。
熱伝導率が高い「コンクリート」で作られた床の場合、地下からの冷気の影響を受け、底冷えを感じることも。外気の影響を受けにくくするには、熱の伝わりを遅らせる「断熱材」を壁・床に施工する方法がおすすめ。
壁・床下の断熱方法や費用の目安については、「断熱工事とは?費用の目安や効果・注意点から一緒に行うべき遮熱工事まで紹介」「【床下からくる寒さにお困りのあなたに】おすすめの床下の断熱方法とは?寒さの理由やおすすめの断熱材をご紹介」で詳しく紹介していますので、あわせてご覧くださいませ。
暖房の効きが悪い
マンションで使用されている「コンクリート」には、蓄熱性能が高いのが特徴。蓄熱性能とは、「1m3の物質の温度を1℃上昇させるのに、必要な熱量」のこと。コンクリートなど蓄熱性能が高い材質には、「冷えにくく、暖まりにくい」性質があるのが特徴。そのため、蓄熱性能が高い「コンクリート」構造のマンションは、暖房をつけても室内が思うように温まりません。
低層階の場合、上から流れてきた冷気がこもりやすい
空気は暖かい空気ほど軽く、冷気は重くなるので、下に下りる性質があります。そのため、マンションの部屋が低層階の場合、上層階から流れてきた冷気がこもりやすく、室温が低下してしまいがち。
とくに1階の場合、地下からの冷気の影響で「足元の冷え・底冷え」を感じやすくなる恐れも……。低層階の寒さ対策には、暖房とあわせてサーキュレーターを使用し、部屋の空気を攪拌させると、部屋全体が暖まりやすくなるのでおすすめです。
新築住宅でも「家が寒い」と感じる理由とは?
新築住宅であっても、壁・床に気密性、断熱性の低い材質を使用している場合は、部屋の寒さを感じる可能性あり。 壁・床の材質で、「気密性・断熱性」の低いものは以下のとおり。
- 壁……木材
- 床……合板フローリング
木造住宅は壁の気密性が低く、冬の寒い時期は外気の影響を受けてしまいがち。新しい家では「断熱材」を壁に使用しているケースが多いですが、寒さを感じる場合は「断熱材がきちんと施工されているか?」について、きちんと確認しておきましょう。
合板フローリングとは、薄い木の板を何度も重ね、接着剤で貼り合わせて作られた「フローリング材」のこと。合板フローリングは安価などのメリットがありますが、空隙率(※空隙率とは、空気が入る隙間の割合のこと)・断熱性が低いことから、足元の冷えを感じやすくなります。
冬も暖かい家を構築したい場合は、床に「無垢フローリング(※厚めの木の板1枚で作られたフローリング材)」を使用するのがおすすめ。快適な住宅環境を構築するためにも、新築住宅を建てる時には壁・床の材質にもこだわってみるといいでしょう。
家の寒さ対策には、屋根・天井・壁・床に「遮熱シート」を施工する方法も
家の寒さ対策には、遮熱シートを住宅の屋根・天井・壁・床下に施工する方法も。遮熱シートとは、輻射熱を反射するアルミシートのこと。
遮熱シートは、太陽や電気ストーブから放射される輻射熱に対して、大きな効果を発揮。たとえば、家の屋根・天井・壁・床に施工することで、暖房によって温まった熱を室内側に反射させ、室内を温かくする効果が期待できます。さらに遮熱効果によってエアコンの効きが良くなり、省エネ対策にも!
遮熱シートは、アルミの純度が高いほど反射率は高くなるので、遮熱効果を高めたいならアルミ純度99%以上のアルミ箔から成る「サーモバリア」を施工するのがおすすめ。反射率97%のアルミサッシを使用した「サーモバリア」は、輻射熱に高い効果を発揮。住宅の屋根・天井・壁・床へ施工すれば、室内の熱を外に逃がさないので、室温低下を防ぎます。
関連記事:サーモバリアとは
【まとめ】
家が寒くなる原因は、「古い家」「マンション」など建物の構造によってそれぞれ異なります。家が寒くなる原因は、主に以下のとおり。
築年数の古い家の場合
- 建物の老朽化から、隙間風の影響を受けやすい
- 断熱材が施工されていない可能性あり
- コールドドラフト現象の影響を受けやすい
マンションの場合
- 外気の影響を受けやすい
- 暖房の効きが悪い
- 低層階の場合、冷気がこもりやすい
築年数の古い家は、建物の老朽化が原因で、隙間風が入る可能性大。さらに古い家では「断熱性が低い材質(木材など)」を使っているケースが多く、冬は外気の影響で室温が下がる恐れがあります。
なお新築住宅であっても、家の材質によっては断熱性が低くなり、外気の影響を受ける恐れがあるので注意が必要。外気の影響を受けやすい「材質」は、以下のとおりとなります。
- 壁……木材
- 床……合板フローリング
断熱性の低い家の場合、窓に「断熱シート」を貼るなどの対策もありますが、家全体の「寒さ対策」を行いたいなら、業者に「断熱リフォーム」「遮熱シートの施工」を依頼しましょう。断熱・遮熱リフォームは、家の広さ、施工場所が多いほど費用が高くなるので、費用対効果を踏まえた上で検討するのがおすすめ。
家の寒さを感じた時は、家の築年数・構造(木造、マンションなど)などを踏まえた上で原因を追究し、住宅に適した対策を行いましょう。