工場排熱の再利用により廃棄エネルギーを有効活用でき、省エネに役立てることができます。工場では生産工程において排ガス、温水、蒸気を排出しており、有効活用することで光熱費や燃料代の削減などに繋げることができます。
本記事では排熱によって得られる省エネ効果を踏まえた上で、排熱の再利用方法、排熱再利用以外の省エネ対策や、排熱の暑さ対策についても紹介します。
目次
工場の排熱再利用によって得られる省エネ効果
工場の排熱は、再利用することでエネルギーを有効活用でき、省エネに繋がることができます。まずは工場の排熱再利用によって得られる省エネ効果について、それぞれ紹介します。
- 排熱を有効活用し、燃料代を削減できる
- 化石燃料の消費量を削減する
排熱を有効活用し、燃料代を削減できる
工場の排熱を再利用することで、廃棄予定のエネルギーを有効活用し、燃料代を削減します。工場では、生産工程における洗浄や殺菌などの設備利用により、日々多くの熱を排出しています。
工場から排出される熱はそのまま廃棄されるケースが多いですが、今まで廃棄されていた工場排熱を熱源として再使用することで、エネルギーを有効活用し燃料代の軽減に役立ちます。
汚泥の処理コスト削減
工場排熱のエネルギーを汚泥の処理に再利用することで、汚泥の処理コスト削減に活かすことができます。水分の蒸発温度である100℃の温度に対し、工場排熱における排ガスは200℃~400℃、蒸気は120℃ほどの熱があり、汚泥乾燥に必要な熱量を十分に保有しています。
汚泥は70%~90%が水分で構成されているので、熱によって乾燥させることで重量を減らし、汚泥の処理コストを軽減します。
化石燃料の消費量を削減する
工場の熱を再利用することで、二酸化炭素を多く輩出する化石燃料の使用量を削減します。化石燃料とは石油や天然ガス、石炭など地下に埋まっている燃料資源のことです。
化石燃料には炭素が含まれており、燃焼することで酸素と結びつき、地球温暖化の要因となる二酸化炭素を多く輩出します。化石燃料の使用を減らすことで二酸化炭素排出量を軽減できるので、地球環境保護にも貢献できます。
工場の排熱を再利用する方法を紹介
工場の排熱は、再利用に便利な機器を設置することで、熱エネルギーを有効活用できます。本項目では、工場の排熱を再利用する方法について具体的に紹介します。
- 排熱利用熱交換器を導入する
- 蒸気発生ヒートポンプを設置する
排熱利用熱交換器を導入する
工場に排熱利用熱交換器を導入することで、排熱を再エネルギーとして活用でき、省エネに役立てることができます。排熱利用交換機とは、工場などで排熱される熱を、エネルギー資源として再利用する熱生成システムのことです。
排熱利用交換機の設置により、以下のような効果を得ることができます。
- ボイラーブロー水の排熱回収
- 外気導入時の給気冷却
排熱利用交換機をボイラーに設置することで、ボイラー給水の加温に排水を再利用でき省エネ効果が期待できます。
さらに工場へ排熱交換機を設置することで室内排気を散水・冷却する効果があり、夏場は冷房の消費量を削減し、電気代を抑える働きがあります。
蒸気発生ヒートポンプを設置する
工場に蒸気発生ヒートポンプを設置することで、排出時の熱を再利用でき、エネルギーコストを抑えることができます。蒸気発生ヒートポンプとは、工場排熱による未利用の温水から熱を回収し、飽和蒸気を発生する装置のことです。
蒸気発生ヒートポンプは1m×1m程度のコンパクトな大きさなので設置場所を選ばず、工場のさまざまな蒸気加熱プロセスで利用できます。
工場の排熱再利用以外の省エネ対策
工場での省エネ対策は、排熱再利用以外にもさまざまな方法があります。排熱再利用と併用させることで、さらなる省エネ効果が見込めるでしょう。次に、工場の排熱再利用以外の省エネ対策について、具体的に紹介します。
- 工場が稼働していない時間の電源をオフにする
- ビニールカーテンを活用する
- 遮熱シートを工場屋根に施工する
工場が稼働していない時間の電源をオフにする
工場の非操業時は、電源をオフにすることで過剰運用を防止し、電力消費を削減できます。 エアコンや給湯器などの機器は、使用していなくてもわずかな待機電力を消費しています。
待機電力の見直しをして、工場が稼働していない時間はエアコン、給湯器などの電源をオフにすることで待機電力を削減し、省エネ効果が期待できます。
関連記事:工場の省エネ対策方法とは?具体的な対策方法を3つご紹介
ビニールカーテンを活用する
工場の出入口をビニールカーテンで仕切る事で熱の出入りを抑え、エアコンの効きが良くなるため間接的に省エネ効果が期待できます。ビニールカーテンとは、ポリ塩化ビニール製の間仕切りのシートのことです。
ビニールカーテンを出入口に設置することで、冷暖房の冷気や熱が外に逃げるのを抑え、空調効率がアップします。冷暖房の効きが良くなることで年中快適に過ごせるようになり、さらに電気代の削減にも貢献します。
遮熱シートを工場屋根に施工する
遮熱シートを工場屋根に設置することで、室温の上昇・低下をおさえて冷暖房の効きがよくなり、光熱費を削減できます。遮熱シートとは、日射による輻射熱を遮る働きを持つアルミ製のシートです。
遮熱シートを工場の屋根に設置することで、夏は工場内の温度上昇を防ぎ、クーラーの使用を抑える働きがあります。さらに冬の寒い時期は、遮熱シートの効果で室内の温度低下を防ぎ、暖房器具の使用を抑え、電気使用量を減らすことができます。
工場屋根への遮熱シート施工には、輻射熱の反射に優れたアルミ箔を使用したスカイシートを取り付ける工法「スカイ工法」を使用すると、作業者の技量の優劣、作業時の天候に関係なく均一な遮熱効果を発揮します。
さらにスカイ工法には折板屋根特有の雨漏れを防ぐ効果もあるため、一度の施工で熱対策と雨漏り対策を同時に行うことが可能です。
関連記事:スカイ工法
工場の排熱を対策したい!という方には遮熱シートがおすすめ
遮熱シートは工場の機器に設置することで排熱を排出させ、室温上昇を防ぐので暑さ対策に効果的です。排熱による暑さ対策には、テント状に遮熱シートを縫製して機器を囲み込み、屋外へ熱を放出させる効果のある「フィット工法」を使用します。
フィット工法により機器に遮熱シートを囲み込むことで、機器から発せられた排熱を屋外へ放出させ、室温上昇を抑えます。具体的な施工事例として、埼玉県草加市の金属印刷工場ではオーブン排熱対策として遮熱シートを機器に設置しました。
遮熱シート施工後は排熱の熱影響が軽減し快適に作業できるようになったため、今後は2階の最も高熱の機械室の対策を検討しているとのことです。
関連記事:金属印刷工場で排熱対策
まとめ
工場排熱を再利用することで、エネルギーを有効活用でき、燃料代や光熱費の削減など、省エネ効果が見込めます。
工場への省エネ対策は排熱を再利用する方法だけでなく、各個人、または企業側で対策できる他の方法までさまざまです。具体的な工場の省エネ対策は、以下の通りとなります。
- 排熱利用熱交換器を導入する
- 蒸気発生ヒートポンプを設置する
- 工場が稼働していない時間の電源をオフにする
- ビニールカーテンを活用する
- 遮熱シートを工場屋根に施工する
遮熱シートは工場屋根に設置する方法の他にも、機器にぐるっと囲むフィット工法があります。フィット工法により、排熱を屋外へ排出させるので、工場内の暑さ対策に効果的です。工場機器の排熱対策には、ガラスクロス繊維に特殊樹脂シートを合わせ両面にアルミ箔を施した不燃シート「サーモバリアフィット」を使用します。
サーモバリアフィットは縫製加工可能な遮熱シートであり、テントのような広範囲なシートを形成できるので、大きな機械や乾燥炉の排熱対策にも最適です。
当社の「フィット工法」や「サーモバリアフィット」による排熱対策をご検討中の方は、カットサンプル・カタログの無料請求も可能ですのでお気軽にお申し込みくださいませ。