サーモバリアとは、アルミ純度99%以上のアルミ箔を使用した遮熱シートのことで、太陽の熱や機械から放出される輻射熱に対し効果があります。サーモバリアを建物の屋根や壁に取付けたり、機械を囲むように施工することで日射や機械からの熱による輻射熱を反射し、夏の暑さ対策に役立ちます。
サーモバリアには多くの種類があり、使用目的、設置箇所、施工箇所にあわせて商品を選定することで、より高い効果を得られます。本記事ではサーモバリアの特徴、効果とともに種類と選び方、施工事例について紹介します。
目次
サーモバリアとは?
サーモバリアとは、アルミ純度99%以上のアルミ箔を使用した遮熱シートのことです。サーモバリアには日射による輻射熱を抑えるので、暑さ対策に効果的です。
本項目では暑さ対策に役立つサーモバリアの特徴、効果を高めるポイント、暑さ対策以外の効果について紹介します。
- サーモバリアの特徴
- サーモバリアの効果を高めるには
- サーモバリアの暑さ対策以外の効果は?
サーモバリアの特徴
サーモバリアとは、高純度なアルミ箔を使用した遮熱シートのことで、輻射熱を反射する作用があります。
輻射熱とは、電磁波による熱のことで、太陽や電気ストーブから放射される熱のことです。サーモバリアを屋根、壁などに施工することで日射による輻射熱を反射し、夏の暑さ対策に役立ちます。
サーモバリアを使って暑さと寒さへの対策を最大化するには
サーモバリアは輻射熱への熱効果は見込めますが、伝導熱、対流熱への効果は期待できません。すべての熱の移動を抑えるには、対流熱、伝導熱に作用のある断熱材と共に、輻射熱を反射するサーモバリアをあわせて利用するのがおすすめです。
サーモバリアに断熱材をプラスすることで、伝導熱、対流熱、輻射熱の3つの熱全てを効果的に止める「理想的な断熱」が実現します。
サーモバリアの暑さ対策以外の効果は?
サーモバリアは暑さ対策以外にも、雨漏り、結露対策に効果を発揮します。雨漏り対策には、屋根に遮熱シートを貼り付けるスカイ工法が最適です。
スカイ工法は折板屋根特有の雨漏れを防ぐ効果があり、一度の施工で熱対策と雨漏り対策を同時に行うことが可能です。さらにサーモバリアは室内・室外の温度差を防ぐ作用があり、結露防止対策にも効果的です。
サーモバリアの選び方
サーモバリアには、使用用途や目的にあわせて、多くの種類があります。サーモバリアの種類と、最適な設置場所、施工箇所は以下の通りです。
- サーモバリアW(屋根、壁など)
- サーモバリアS(あらゆる部位に使用が可能)
- サーモバリアスリム(壁の外側、内側に使用でき、ベーパーバリアと兼用して使用することも可能)
- サーモバリアエアー(透湿性があり通気工法に使用、結露対策)
- サーモバリアトップ(工場・学校・体育館などの屋上)
- サーモバリア フィット(乾燥炉などの機器)
使用目的、設置箇所、施工箇所に応じて商品を選定することで、より高い効果を見込むことができます。
サーモバリアW:屋根や壁への施工におすすめ
サーモバリアWは、二重のエアーキャップと両面アルミ箔からなる遮熱シートです。ポリエチレンなどの9層構造による遮熱シートなので、熱の侵入を遅らせる断熱効果も見込めます。
両面がアルミ箔になっているため、夏時期の日光などによる室外からの輻射熱の侵入はもちろん、冬時期の室内の暖房器具から発生する輻射熱を室内側へ止めることができます。そのため、以下のような箇所への施工が非常におすすめです。
- 床下
- 屋根裏
- 壁
床下は普段日光による輻射熱などはありません、しかし冬時期には室内の電気ストーブなどから放出された輻射熱が床から室外へ逃げてしまうため、寒さ対策には有効です。
施工事例
岐阜県岐阜市にある一般住宅では、夏の暑さ対策として外壁リフォーム時にサーモバリアWを施工しました。家全体の外壁材との間にサーモバリアWを施工することで夏時期の輻射熱の対策が可能になるとともに、冬時期の寒さ対策にも繋がります。
このようにすでに入居している住宅でも、外壁のリフォーム時などと合わせて施工をすることが可能です。その方が足場費用などの費用を浮かすことができるため、20万円程度の予算削減にもつながります。
サーモバリアS:どこにでも施工できる万能タイプ
サーモバリアSは、ポリエチレンなど7層構造からなる遮熱シートです。サーモバリアSはエアーキャップに両面アルミ箔を貼った断熱性、高反射性をあわせ持っており、夏の暑さ、冬の寒さ対策にも効果的です。
サーモバリアSは、薄さ4mmと上述のサーモバリアWに比べて半分程度なので以下のようなあらゆる箇所へ施工が可能です。施工時は、サーモバリアW同様に外壁材との間にサーモバリアSを貼ると室内からの輻射熱も反射するので、暑さ対策と同時に寒さ対策効果も見込めます。
- 屋根上、スレート屋根、折板屋根の下
- 壁
- 床
施工事例
冬の寒さ対策や光熱費削減を目的として、岐阜県関市の会社様事務所にサーモバリアSの施工を行いました。サーモバリアは、直接的には暑さ対策や寒さ対策に有効ですが、室内が暑く(寒く)ならないことから光熱費の削減にも役立ちます。
サーモバリアスリム:極薄で下地の取付けの妨げにならなず断熱材と併用して施工する部位に最適
サーモバリアスリムは、厚さ0.2mmとサーモバリアの中でももっとも薄い遮熱シートです。サーモバリアスリムは3層構造からなっており、断熱材と併用して施工する部位に最適です。また、湿気対策のベーパーバリアと兼用して使用することも可能です。おすすめの施工箇所は、以下の通りです。
- 壁の外側、内側
- 床のネタの下
- 天井
施工事例
愛知県半田市の精肉加工会社様では、結露対策としてサーモバリアスリムを採用いただきました。
食品系工場では天井や壁の温度と室内温度の差から、壁や天井などに結露ができてしまう問題がよく発生します。そのような場合は、事例のようにサーモバリアスリムを天井や壁などに施工することで結露の対策をすることも可能になります。工場での結露対策については「【工場の結露対策】結露の原因と具体的な対策方法、事例を紹介」の記事で紹介しておりますので合わせてご覧ください。
サーモバリアエアー:結露が気になる箇所への施工に最適
サーモバリアエアーは、厚さ0.2mmのシートに細かい穴が無数に開いている遮熱シートです。樹脂製のメッシュシートの両面にアルミニウムを貼ってあり、強度が高いのが特徴です。サーモバリアエアーはシートにある細かい穴が湿気を逃すので、輻射熱の対策と同時に結露防止効果も期待できます。そのため特に結露が気になるような湿気がこもりやすい以下の箇所への施工がおすすめです。
- 床下
- 屋根
施工事例
岐阜県にある一般住宅では、ツーバイフォーの住宅の床下にサーモバリアエアーを施工しました。
ツーバイフォーの場合、床剛性を確保するのに大引きと剛床の間に接着剤を使用するので、サーモバリアエアーをカットして施工します。サーモバリアエアーを床下施工することで、室内から床下に逃げる熱を止める働きがあり、冬の寒さ対策に効果的です。
サーモバリアトップ:フラットな屋根に最適
サーモバリアトップは、厚さ0.2mmのシートです。他のサーモバリアと違い、片面のみがアルミニウム箔で覆われたフラットな屋根上に直接貼るタイプの遮熱シートとなります。
サーモバリアトップのおすすめの施工箇所は、以下の通りです。
- 工場、学校、体育館の屋上
効果は他の遮熱シート同様に日射による輻射熱を反射し、室内の温度上昇を抑える効果があります。
施工事例
岐阜県にある会社様の事務所では、屋上にサーモバリアトップを施工しました。事務所の屋上は、コンクリートのフラットな屋上であるためトップが最適でした。
サーモバリアフィット:熱を放出する工場内機械に最適
サーモバリア フィットは、ガラスクロス繊維に特殊樹脂シートを合わせ両面にアルミ箔を施した不燃シートです。サーモバリアフィットおすすめの施工箇所、施工事例について紹介します。
サーモバリア フィットは縫製加工ができ、テントのような広範囲なシートを形成することがでるため以下のような工場内の機械への施工がおすすめです。具体的にはテント状に縫製し、乾燥炉、機器を囲み込むことで、発生する輻射熱を大幅にカットします。
- 乾燥炉
- 熱を放出する機器
施工事例
岐阜県美濃市にあり、熱間鍛造等の製造を行う㈱三協製作所では、夏の暑さ対策としてサーモバリアフィットを採用しました。サーモバリアフィットは、機械乾燥炉(2台分)に施工を行いました。

施工前の様子

フィットを取り付けた様子
工場内の機械からは、稼働時に大量の熱が放出されることが多く、そのせいで工場内の気温が上昇したり、近くで働いている従業員が熱中症になったりする場合があります。そのような場合は、今までに紹介したサーモバリアよりもこのサーモバリアフィットがおすすめです。
まとめ
サーモバリアは高純度のアルミ箔を採用した遮熱シートであり、用途、施工箇所にあわせてさまざまな種類があります。住宅や工場などに使用する遮熱シートを選ぶ際には、「商品選定ナビ」を利用すると最適なシートが選定できるのでぜひご活用くださいませ。
また、サーモバリアは無料でカットサンプルを送付することも可能です。気になった商品がありましたらぜひ以下よりお申し込みください。